2013 年 33 巻 1 号 p. 131-135
術前CT検査にて両側同時性閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断し得た2症例を経験した。症例(1)は83歳女性で,腹痛と嘔気を主訴に受診し,CTで両側閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断。緊急手術所見ではバウヒン弁から口側約30cmの回腸が左閉鎖孔に,そこから口側約30cmの回腸が右閉鎖孔に嵌頓していた。両側ともにRichter型ヘルニアで腸管壊死を認め,小腸部分切除術を施行した。ヘルニア門は卵巣を用いて閉鎖した。症例(2)は79歳女性で,嘔気と繰り返す右鼠径部痛を主訴に受診し,CTにて両側閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断した。緊急手術所見ではバウヒン弁から口側約120cmの回腸が右閉鎖孔に嵌頓。Richter型ヘルニアで腸管壊死を認め,小腸部分切除術を施行した。左側は自然に還納されていたが,右側嵌頓部より口側約50cmの回腸に発赤を認め,嵌頓部と思われた。両側のヘルニア門に腹膜外腔にMesh plugを挿入した。