2013 年 33 巻 1 号 p. 61-66
胃上部血行遮断および脾摘術は,一般的に Hassab手術ともいわれるが,食道や胃の離断を行わず,胃周囲および食道下部の広範囲な血行遮断と脾摘を行う術式で,門脈圧亢進症に対する直達手術である。当科では,難治性の食道静脈瘤に対してより低侵襲性を求めた腹腔鏡下胃上部血行遮断および脾摘術を行ってきた。しかしながら,1,000g以上の脾腫症例や,側副血行路の著明に発達した症例においては,腹腔鏡下手術のみでは,術中出血により開腹手術に移行せざるえない症例もある。そこで,そのような症例においては用手補助下(Hand assisted laparoscopic surgery)に胃上部血行遮断および脾摘術を行うようにしている。これにより出血量の軽減することができ開腹移行例も少なくなった。術後の食道胃静脈瘤の消失効果は高く,内視鏡や IVR不能例に対して本術式は有用であると考えられる。