2013 年 33 巻 1 号 p. 67-71
小腸閉塞(Small bowel obstruction:SBO)の診療において絞扼の有無は治療方針を決定する上で重要であり,絞扼性 SBOの場合は緊急手術を要する。絞扼性 SBOでも呼吸循環動態が安定しており,気腹下でWorking spaceが確保できる例において,腹腔鏡手術も選択肢となりうる。絞扼性 SBOの診断または疑いで緊急腹腔鏡手術を行った場合,その原因は単純なバンド(Single band)が最も多く,術式も容易なBand切離であることが多い。また,術前診断が絞扼性 SBOの疑いの場合,腹腔鏡を使用することで不必要な開腹を回避できる可能性もある。筆者らはSBOに対して緊急腹腔鏡手術を 29例に行っているが,開腹移行率は24%,合併症率は14%であり,術中腸管損傷は2例であった。これらの成績は許容範囲内と考えられ,SBOに対する緊急腹腔鏡手術は適応を限れば安全かつ有用である。