抄録
腹部救急例にこそ鏡視下手術が寄与すると考え大腸切除に応用している。対象は過去11年6ヵ月間の腹部救急疾患に対する腹腔鏡下大腸切除89例(腸閉塞69,腹膜炎17,出血2,虚血性腸炎1)。適応は待期例での適応に加え救急例では,腸閉塞は術前減圧で腹腔内操作腔が確保できる例,腹膜炎は限局性または汎発性なら全処置良好な医原性例,出血や腸虚血は血行動態,全身状態安定例に限った。手術は原則として待期例と同様の方法をとるが,救急例には特有の注意点があり,よく理解しておくことが肝要である。開腹移行率は2.2%,Pure laparoscopic surgeryは59.6%であった。腸閉塞で良性は10例で,腹膜炎,出血,虚血性腸炎例とも結果良好であった。癌性腸閉塞は59例で開腹大腸癌腸閉塞例と比較すると手術成績,癌の予後とも良好であった。 安全に適応を選べば腹部救急疾患に対する腹腔鏡下大腸切除術は有用である。