日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下手術を施行したS状結腸間膜窩ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例
西田 保則高橋 祐輔笹原 孝太郎
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2013 年 33 巻 1 号 p. 91-94

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抄録

症例は55歳女性,下腹部痛と嘔気を主訴に来院。腹部CTで拡張した小腸と,左下腹部にclosed loopを認めた。同部位での絞扼を疑い,緊急手術を施行した。腹腔鏡で観察すると,S状結腸間膜と壁側腹膜の癒合部に陥凹部があり,S状結腸間膜窩ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスと診断した。鏡視下に嵌頓を解除し,ヘルニア門を縫合閉鎖した。腸切除は行わなかった。術後経過に問題なく,第6病日に退院となった。S状結腸間膜に関連した内ヘルニアは比較的まれであり,術前診断は困難な症例が多い。絞扼性イレウスと判断し手術を施行し,腹腔鏡下に早期診断,治療できたS状結腸間膜窩ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例を経験した。

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© 2013 日本腹部救急医学会
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