日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
術前に診断しえた胆嚢捻転症の1例
大野 由夏子上田 順彦野口 美樹舟木 洋木南 伸一表 和彦中野 泰治小坂 健夫
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2013 年 33 巻 4 号 p. 763-766

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抄録

要旨:症例は86歳,女性。急性胆嚢炎の診断で当院に紹介となったが,腹部USではPTGBDの安全な穿刺ルートがないため経過観察となった。翌日,腹部膨満と右季肋部に軽度の反跳痛を認めるようになり当科に紹介となった。MDCTの冠状断では胆嚢は腫大し底部は右外側に偏位していた。水平断では胆嚢管は肥厚した胆嚢頸部の背側を走行し,くちばし状に途絶していた。また胆嚢壁は一部造影効果が不良であった。以上の所見より胆嚢捻転症で不完全な血流途絶状態であると診断し,同日緊急手術を施行した。胆嚢は緊満し,体底部は全層性の壊死に陥っていた。胆嚢管の間膜のみ固定されており,これを軸に胆嚢が時計方向に360度回転していた。GrossII型の胆嚢捻転症と診断した。捻転を解除した後,胆嚢摘出術を施行した。病理では底部は全層性の壊死に陥っていた。術後経過は良好で術後第10病日で退院となった。

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© 2013 日本腹部救急医学会
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