抄録
要旨:Abdominal compartment syndrome(ACS)をきたし得る病態は内因性では急性膵炎や破裂性腹部大動脈瘤,外因性では全身熱傷や外傷が代表的であり,侵襲度が高く集中治療が必要である。急性膵炎,全身熱傷を含むICUにおける栄養ガイドラインでは可能なら早期経腸栄養が推奨されているものの,intra-abdominal pressure(IAP)が上昇している時に栄養投与が困難なことが多い。本稿では重症急性膵炎における早期経腸栄養の実態に関して自験例を後ろ向きに検討する。文献的な考察を加え,ACSをきたし得る病態における実践的な栄養投与のStrategyを提示する。