抄録
要旨:症例は60歳代,男性。2011年6月,早期胃癌に対し,腹腔鏡補助下幽門側胃切除,結腸前経路Roux-en Y再建術を施行した。同年10月,昼食摂取3時間後に心窩部痛が出現し,軽快しないため,当院に救急搬送された。来院時,腹部は膨満し,上腹部に比較的限局した圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった。腹部CT検査にて腹水貯留,一部の上部小腸の拡張,腸間膜脂肪織の濃度上昇を認めた。絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した。開腹時,乳び腹水約800mLを認め,結腸前経路で挙上した空腸と横行結腸間膜との間隙(Petersen's defect)に空腸の大部分が陥入しており,その空腸の鬱血および腸間膜の浮腫を認めた。用手的に整復した結果これらの所見は改善した。術後3日目に経口摂取を開始し,7日目に退院した。近年,腹腔鏡補助下胃切除術後の内ヘルニアの報告が増加している一方で,決定的な予防法がないため,術後その可能性を念頭に置いたフォローが必要と考えられた。