抄録
要旨:症例は36歳の男性。主訴は3週間前よりの腹部膨満感。腹部造影CT検査にて多量の腹水と腹膜の肥厚を認め,PET─CT検査にて肥厚した腹膜に異常集積を認めた。腹水は淡黄色透明でADAは高値,細胞診はclassII,一般細菌培養は陰性,結核菌の塗抹と培養はともに陰性であった。以上から結核性腹膜炎が疑われたが,癌性腹膜炎や中皮腫などとの鑑別を要するため全身麻酔下に腹腔鏡検査を施行した。腹膜,大網など腹腔全体に粟粒大の白色小結節が多数認められた。壁側腹膜と大網より採取した小結節にラングハンス型巨細胞を伴う小型の類上皮細胞肉芽腫を認めることから結核性腹膜炎と診断した。抗結核薬は4剤併用療法(INH,RFP,EB,PZA)を施行した。腹水は術後2ヵ月で著明に減少し社会復帰をはたした。6ヵ月後のCT検査にて腹水は認めず抗結核薬を終了としたが,1年6ヵ月後の現在結核性疾患の再発・再燃は認められない。