抄録
要旨:症例:60歳代男性。主訴:下腹部痛。既往歴:20歳代にCrohn病と診断。15年前に小腸切除。13年前に難治性痔瘻にて人工肛門造設。以後5-ASA内服治療継続。現病歴:2009年8月突然の右下腹部痛にて当院受診。急性腹症の診断で入院。経過:来院時CTで終末回腸の狭窄が原因の単純性腸閉塞症と診断。回盲部の腸管気腫と回結腸静脈から肝内門脈に至る血管内ガス像を認めた。6時間後のCTで腸管気腫と門脈ガスは消失するも閉塞の改善ないため手術施行。回腸末端に狭窄があり,口側腸管内に2cm大の硬い異物を認めた。虚血腸管はみられず異物除去と狭窄形成術を施行。経過良好で軽快退院した。考察:腸管気腫や血管内ガスが腸閉塞症に合併する場合,腸管壊死の有無が臨床上問題となる。本症例では腸管虚血は術前より否定的であり,異物による機械的損傷が原因で腸管壁から門脈系血管にガスが入ったものと推察された。