2013 年 33 巻 6 号 p. 1013-1017
要旨:症例は75歳男性。2011年11月膵癌に対し,膵頭十二指腸切除術ならびに空腸瘻造設術を施行した。術後経過は良好で術後22日目に空腸瘻チューブを抜去,術後34日目に退院した。以後外来にて経過観察中,2012年6月腹痛を主訴に当院受診した。腹部CT検査では肝表面に腹水の貯留およびfree airを認め,消化管穿孔の診断のもと,緊急手術を行った。手術所見では空腸瘻の腹壁固定部が裂け,遅発性空腸瘻穿孔と診断,穿孔部を含めて空腸を切除し,機能的端々吻合を施行した。患者は術後7日目にイレウスを呈したものの保存的に軽快し,術後30日に退院した。