日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
出血性ショックを伴う後腹膜血腫により診断された甲状腺乳頭癌膵転移の1例
佐藤 孝幸磯谷 栄二中川 隆雄仁科 雅良須賀 弘泰増田 崇光堀江 良彰
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2013 年 33 巻 8 号 p. 1275-1279

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抄録
転移性膵腫瘍は比較的まれな疾患である。われわれは出血性ショックを伴う後腹膜血腫から発見され,診断された甲状腺乳頭癌膵転移を経験したので報告する。症例は39歳,男性である。10年前に甲状腺乳頭癌にて甲状腺亜全摘の既往があり,出血性ショックにて紹介受診となった。CT検査にて後腹膜血腫を認めたため,緊急経カテーテル的動脈塞栓術(Transcatheter arterial embolization:TAE)施行,脾動脈からの出血が認識され,一時止血された。しかし,その後再度血圧低下がみられたため,緊急手術となり,腫瘍内からの出血を認めた。病理組織学的検査より,甲状腺乳頭癌の膵転移と診断された。長期経過例であっても甲状腺乳頭癌においては膵臓への遠隔転移の可能性があり,さらには転移性膵腫瘍の診断,治療にあたっては原発巣の特徴を見据えることが重要であると考えられた。
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© 2013, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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