2014 年 34 巻 1 号 p. 177-180
症例は72歳男性で,心窩部痛,嘔吐で受診された。既往に胸部下行大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術後のグラフト感染による下行大動脈人工血管置換,有茎大網充填術があった。精査の結果,大網充填経路から胃と横行結腸が脱出した横隔膜ヘルニアと診断し,腹腔鏡下修復術を施行した。脱出臓器は容易に腹腔内に還納可能で,ヘルニア門の径は4×5cmであった。拳上した大網を絞め過ぎないようにヘルニア門を直接縫合閉鎖し,10×12cmのComposite meshを縫合部の横隔膜に被覆固定した。合併症なく術後5日目に退院した。現在,術後9ヵ月経過し無再発である。横膈膜ヘルニアに対する腹腔鏡下手術は低侵襲で有用な手技であった。