日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
シートベルトによる腸管・腸間膜損傷の受傷機序の検討
里村 仁志佐々木 欣郎室井 大人高橋 雅一勝又 大輔山口 悟中島 政信加藤 広行
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キーワード: 交通外傷, 開腹歴, 受傷機序, BMI
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2014 年 34 巻 4 号 p. 837-840

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抄録
2010年4月から2013年3月までにシートベルトに起因する鈍的腸管・腸間膜損傷を6例経験した。損傷部位は十二指腸が2例,小腸間膜損傷に小腸損傷を伴うものが2例,小腸間膜損傷のみのものが2例であった。十二指腸穿孔の2例はいずれもBMIが低いため,シートベルトと脊椎に十二指腸水平脚が圧迫されて,内圧が急激に上昇したため穿孔したものと考えられた。腸間膜のみの損傷であった2例はシートベルトに直接圧挫されて間膜が裂傷を負ったものと思われた。腸間膜損傷に腸管の離断や穿孔が伴っていた2例は前述したメカニズムの複合による受傷と類推された。3例に開腹歴を認め腹腔内での癒着,組織の硬化が腸管・腸間膜損傷に影響した可能性が示唆された。シートベルト損傷はベルト痕を含めた腹部の視触診やFAST,CTなどの画像診断に加えて,開腹歴やBMI等も考慮して慎重に診断する必要があると思われる。
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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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