抄録
潰瘍性大腸炎の治療中に敗血症性ショックを合併した症例で新しいエンドトキシン測定法であるEndotoxin Activity Assay(以下,EAA)とEndotoxin Scattering Photometry(以下,ESP)の評価を行った。症例は65歳男性,3週前より潰瘍性大腸炎でステロイド治療などを受けていたが,大腸穿孔をきたし転院となった。緊急開腹で直腸穿孔を認め,大腸亜全摘を施行した。術前より敗血症性ショックであり,術前EAA 0.03であった。術後翌日の重症敗血症の状態でもEAA 0.48であり,臨床症状とEAAの乖離を認めた。術前ESPは306pg/mLと高値を示し,患者の循環動態の改善に伴い低下した。EAAは患者好中球活性酸素産生能を測定原理とするためステロイド使用患者では,正確にその病態を反映しない可能性がある。一方,ESPはこの様な患者でも評価できる可能性が示唆された。