日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
特集:食道破裂,穿孔の診断と治療における戦略と工夫
手術療法を施行した食道穿孔および特発性食道破裂症例の検討
本城 裕章宗田 真宮崎 達也桑野 博行
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2015 年 35 巻 1 号 p. 029-034

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抄録
特発性食道破裂および食道穿孔は初期診断が難しく,発症早期に適切な治療が為されなければ重篤化しうる比較的まれな疾患である。初期症状は胸腹部痛であることが多いため,正確な診断のためには詳細な問診と常に食道穿孔の可能性を疑って検査を進める姿勢が欠かせない。治療は外科手術が中心であるが,保存的治療の有効性も認められており,患者の全身状態と病態を正確に把握したうえで選択されるべきである。いずれの場合でも,発症から治療開始までの時間が予後を大きく左右する。手術においては穿孔部の確実な閉鎖と有効なドレナージ方法の選択が焦点となる。当科では典型的な症例の場合,穿孔部の単純縫合閉鎖に加えfundic patchによる被覆補強,経腹腔的T-tubeドレナージを行う方針としている。これまでに10例の食道穿孔を経験し,3例に保存的治療,7例に手術治療が施されいずれも良好な成績を得ている。
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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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