抄録
目的:大腸穿孔性腹膜炎の術後合併症予測因子を抽出し有用性を検討した。方法:大腸穿孔性腹膜炎に開腹術を施行した54例を対象とし術後合併症を軽症群と重症群に分類し,合併症予測因子を抽出した。結果:単変量解析では遊離穿孔症例,腹腔内糞便性汚染症例で有意に重症合併症を認めていた。開腹時腹腔内所見をType Ⅰ:被覆非糞便性,Type Ⅱ:被覆糞便性,Type Ⅲ:遊離糞便性に分類し,多変量解析を行うと開腹時腹腔内所見分類が独立した合併症予測因子として抽出された。Type Ⅲは術後周術期において敗血症全身状態評価スコアが有意に高値であり,ICU入室期間が長期化していた。重症合併症率はType Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ=19%/20%/59%で,在院死亡は全てType Ⅲであった。結論:開腹時腹腔内所見分類は大腸穿孔の重症度の指標となり,術後重症合併症予測因子として有用であった。