日本腹部救急医学会雑誌
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原著
当施設における大腸穿孔手術例の予後因子と臓器障害の検討
島居 傑柳澤 真司北村 伸哉小林 壮一岡庭 輝
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2015 年 35 巻 3 号 p. 187-193

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抄録

2002年1月から2012年12月までに手術を施行した大腸穿孔症例94例を対象とし在院死に関する予後因子を検討した。また,SOFA scoreを用いて臓器障害を評価し,その予後への影響を検討した。11例の在院死亡例を認め10例が急性期病態に関連した死亡例であった。多変量解析の結果,術前PT-INR>1.5が独立した予後不良因子と判明した。SOFA scoreは生存例と比べ死亡例で有意に高く,各パラメータの比較では術前の呼吸器系,中枢神経系,腎機能の項目と,術後の呼吸器系,心血管系,中枢神経系の項目が死亡例で有意に高かった。一方,術前・術後ともに肝機能や凝固系の項目に差はなかった。術後の腎機能の項目にも差はなく,術後腎機能障害が顕著になった症例にはCHDFを用いた管理が奏功した可能性が示唆された。大腸穿孔ではさまざまな臓器障害を呈し重篤となるため,早期の予後不良例の認知と適切な管理が重要である。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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