抄録
トロンボモジュリン製剤である遺伝子組換え型ヒトトロンボモジュリンは,敗血症性DICの治療薬として近年注目されてきているが,腹部緊急手術後の使用に注目した研究は少ない。そこで,当院で過去約3年間に経験した腹部緊急手術を要した敗血症性DIC症例を対象に,同製剤の使用と周術期の治療成績を後方視的に検討した。投与群24例,非投与群19例であり,投与群でAPACHE Ⅱ scoreが有意に高く (p=0.02),術後ICU入室率,人工呼吸器使用率が高かった (p<0.001,p=0.004)。出血性合併症や死亡率に有意差はなく,投与群では敗血症性DIC診断後の新鮮凍結血漿の投与量が少なかった (p=0.02)。以上により,同製剤は腹部緊急手術の周術期でも安全に使用できることが確認され,敗血症性DIC診断後の輸血量を減らせる可能性が示唆された。