2015 年 35 巻 3 号 p. 293-297
72歳の男性が,突然の左側腹部痛と水様便を認めたため,当院を受診した。腹部単純CT検査を施行したところ,下行結腸周囲に消化管外ガス像と周囲脂肪織濃度の上昇を認めた。結腸穿孔による腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した。腹腔鏡で観察したところ,結腸脾弯曲部の著明な発赤と浮腫を認め,腸間膜への穿通が考えられた。腹腔内汚染は軽度であり,腹腔鏡補助下で結腸部分切除術を行った。切除標本の粘膜に縦走潰瘍を2条認め,病理検査にて基底膜直下に膠原線維帯の肥厚が存在したことからcollagenous colitisと診断した。本疾患はランソプラゾール内服が原因の1つと考えられており,本患者に発症前5ヵ月間投与されていた同薬剤の内服を中止した。術後6ヵ月現在,再燃は認めていない。