抄録
症例1は80歳,男性。下血のため当院へ搬送された。内視鏡で十二指腸潰瘍からの出血を認めたが,止血不能であった。MDCTで胃十二指腸動脈からの造影剤漏出を認めたため緊急血管造影を行った。同動脈からの血管外漏出を認めマイクロコイルで塞栓術を行い止血を得た。症例2は57歳,女性。吐下血をきたし当院に救急搬送された。出血性十二指腸潰瘍と診断され,内視鏡的止血を行うも再出血を繰り返し,4回目の出血時にショックとなった。MDCTでは胃十二指腸動脈が潰瘍底を走行していた。出血源と考え緊急TAEを行い,仮性動脈瘤の消失と循環の安定を得た。上部消化管出血で内視鏡止血困難な場合には手術やTAEが考慮されるが,血管内アプローチが比較的容易な出血に対してはTAEが手術に優る場合がある。侵襲性の点からまずTAEの適応を考慮することが重要であり,その判断にはMDCT画像が極めて有用である。