日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
2度の開腹手術を要した胃石イレウスの1例
竹林 隆介磯崎 博司
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キーワード: 胃石, 腸閉塞, 胃潰瘍
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2015 年 35 巻 3 号 p. 335-338

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抄録

60歳,女性。主訴は心窩部痛。胃内視鏡で多量の残渣,胃角に胃潰瘍を認め入院治療となった。5日目より腹痛と腹部膨満感を認めた。腹部CTでは拡張した小腸の肛側に含気性食物塊を認め,この食物塊によるイレウスと診断,9日目に開腹手術を施行した。回盲弁から口側約150cmに異物塊を認め,小腸壁を横切開して摘出した。異物塊は4cm大の結石であった。術後8日目から再び腹痛を認めた。腹部CTで拡張した小腸と含気性食物塊を認め,術後14日目に再開腹した。前回縫合部周囲小腸が癒着し一塊となっており,縫合部の肛門側に2個の異物塊を認め,一塊の小腸とともに切除した。2個の異物塊は初回手術時の結石と酷似しており,術後検索で,初回手術時CTで胃内に結石が描出していることが確認された。本例は胃石イレウスに対して術中検索が不十分であったため,残存していた胃石の再排出により再びイレウスを生じ,再手術を要した教訓的症例である。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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