抄録
症例は開腹歴のない36歳の男性。受診の約24時間前から持続する上腹部痛・嘔吐のため,当院に搬送された。初診時,腹部は軽度膨満していたが,圧痛は軽度で筋性防御はなかった。腹部CT検査では,小腸拡張像と少量の腹水を認め,胃と十二指腸水平脚の間に小腸の狭窄部を認めた。内ヘルニア嵌頓が疑われ,同日緊急開腹術を施行した。開腹したところ,Treitz靭帯より肛門側210cm~220cmの回腸が,大網の異常裂孔を通り網囊内に嵌入し,小網の幽門側にある異常裂孔より腹腔へ脱出していた。徒手整復をした後に,小網・大網の裂孔を縫縮した。術後経過は良好であり,術後5日目に退院となった。今回,極めてまれな大網小網裂孔網囊ヘルニアの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する。