日本腹部救急医学会雑誌
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特集:絞扼性腸閉塞の診断と治療
絞扼性イレウスに対する術前診断方法と治療成績
壁島 康郎掛札 敏裕
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2015 年 35 巻 4 号 p. 413-416

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抄録

絞扼性イレウスはいまだその診断に迷うことが少なくない疾患である。2000年~2013年におけるイレウス手術症例223例を対象とした検討を行った。絞扼性は71例であった。絞扼性腸閉塞を1期(静脈絞扼期)2期(動脈絞扼期)3期(腸管壊死期)に分類し検討を行った。【結果】1期:7.0%,2期:47.9%,3期:45.1%であった。術前CT検査で絞扼性イレウスと診断し得た症例は95.5%であった。腹水は2期で67.6%,3期で75.0%に認めたが,そのうち半数は骨盤内少量のみの所見であった。血液検査の絞扼性腸閉塞診断に対する有用性は示されなかった。手術が行われるまでに24時間以上の時間を要した3期症例における,周術期合併症の発生率は約60%であった。合併症は縫合不全2例,肺炎4例,在院死6例であった。【結語】術前CTにおけるclosed loopを主とした絞扼性イレウスの診断正診率は高く重視すべきと考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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