日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
高齢発症したMeckel憩室の炎症性癒着を起因とした絞扼性イレウスの1例
鍵谷 卓司諸橋 一坂本 義之小山 基一戸 大地二階 春香内田 知顕袴田 健一
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2015 年 35 巻 7 号 p. 879-883

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抄録

患者は開腹手術既往のない71歳の男性で,下腹部痛を主訴に来院した。精査の結果,絞扼性イレウスと診断し,緊急開腹術を施行した。手術所見では,回腸末端より口側50cmの腸間膜反対側に生じた7cmの先端囊状の管状構造物が同部位の小腸間膜に癒着しており,これにより形成された間隙に回腸が嵌頓していた。先端囊状の管状構造物を含む壊死小腸を約100cm切除した。病理検査で先端囊状の管状構造物は真性憩室であり,Meckel憩室と診断された。Meckel憩室の合併症の一つとして腸閉塞が知られているが,Meckel憩室と小腸間膜の癒着による内ヘルニアへの嵌頓が原因となるものはまれである。また,Meckel憩室による合併症の発生率は加齢に伴い減少するため,高齢での発症もまれと考えられた。開腹既往のない絞扼性イレウスの原因として,高齢者であってもMeckel憩室が発症要因である可能性を念頭におくべきである。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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