日本腹部救急医学会雑誌
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特集:腹部救急疾患における抗血栓薬の取り扱い
脳神経外科領域における抗血栓薬の取り扱いの実際
辻 篤司野崎 和彦
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2016 年 36 巻 5 号 p. 877-882

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抄録

脳卒中は急速な高齢化社会が到来している日本において,発症・再発を防ぐことが求められる最重要疾患の一つである。脳卒中の多数を占める脳梗塞を治療・予防するため,抗血栓治療を実施する機会は年々増加している。抗血栓療法は血栓溶解療法,抗血小板療法,抗凝固療法で構成される。rt-PA静注による血栓溶解療法の危険性を減らすためにはプロトコールを遵守しすみやかに施行することが重要である。抗血小板剤では微小出血例でのDAPTを回避することが重要である。NVAFにはNOACによる抗凝固療法が勧められる。日本人の特性を考慮した,適正な抗血栓薬の選択・使用が重要である。頭蓋内出血,消化管出血などの重大な合併症発生時に,抗血栓薬継続・変更・中止を判断するため,それらのリスク・ベネフィットを客観的に評価する指標(スコア化など)の立案が急務である。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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