日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:腹部救急疾患における抗血栓薬の取り扱い
抗血栓薬内服患者の内視鏡検査における生検以上の手技
―ガイドライン順守の結果―
渡辺 昌則千原 直人三島 圭介清水 貴夫中田 亮輔山岸 征嗣前島 顕太郎水谷 聡鈴木 英之内田 英二
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2016 年 36 巻 5 号 p. 883-888

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抄録

背景:2012年7月に発行された抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインに準拠し,2013年1月より生検以上の内視鏡処置を始めた。対象および方法:2013年1月~2014年10月の期間,抗血栓薬服用者に対する内視鏡を行った患者は730人(上部431人,下部299人),うち生検以上の処置を行った患者216人を対象とし,後出血について検討した。結果:後出血の発生頻度は生検0%(0/165),PEG 0%(0/10),EMR 0%(0/17),胃ESD 30%(3/10),その他0%(0/14)であった。胃ESD後出血の発生頻度は,抗血栓薬非服用者に行った胃ESDに比較して,有意に高かった(P<0.0001)。血栓塞栓症の発生はなかった。結論:同ガイドラインを順守して内視鏡処置を行う場合,抗血栓薬服用者の胃ESDは後出血の発生率が高く,抗血栓薬の再開後も注意が必要である。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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