2016 年 36 巻 5 号 p. 883-888
背景:2012年7月に発行された抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインに準拠し,2013年1月より生検以上の内視鏡処置を始めた。対象および方法:2013年1月~2014年10月の期間,抗血栓薬服用者に対する内視鏡を行った患者は730人(上部431人,下部299人),うち生検以上の処置を行った患者216人を対象とし,後出血について検討した。結果:後出血の発生頻度は生検0%(0/165),PEG 0%(0/10),EMR 0%(0/17),胃ESD 30%(3/10),その他0%(0/14)であった。胃ESD後出血の発生頻度は,抗血栓薬非服用者に行った胃ESDに比較して,有意に高かった(P<0.0001)。血栓塞栓症の発生はなかった。結論:同ガイドラインを順守して内視鏡処置を行う場合,抗血栓薬服用者の胃ESDは後出血の発生率が高く,抗血栓薬の再開後も注意が必要である。