2016 年 36 巻 5 号 p. 979-982
腹腔鏡下手術は多くの急性腹症病態で行われているが,外傷分野では限られている。今回外傷性直腸損傷に対して腹腔鏡下手術が有用であった症例を経験した。症例1は80歳,男性。「孫の手」に座りこみ直腸,前立腺,膀胱損傷をきたした。経肛門的に直腸損傷部の縫合閉鎖,圧迫止血を行った。腹腔鏡を用いて腹膜の破綻がないことを確認したのち,回腸ループ式人工肛門を造設した。前立腺を介した直腸膀胱瘻が閉鎖したのち,術後128日に人工肛門を閉鎖した。症例2は79歳,男性。浣腸による直腸損傷に対して腹腔鏡を用いて腹腔内臓器損傷がないことを確認したのちS状結腸ループ式人工肛門を造設した。術後86日目に人工肛門を閉鎖した。外傷性直腸損傷において,大きな開腹操作を伴わず腹腔内の検索ならびに排便経路の変更を行うことができる腹腔鏡下手術は有用な術式である。