2016 年 36 巻 5 号 p. 997-1000
症例は34歳,女性。主訴は腹痛で,急性腹症疑いに当科紹介受診となった。腹部CTで回盲部が上行結腸に入り込む腸重積を認めた。腫瘤性病変は認めなかった。下部消化管内視鏡で重積の先進部と思われる発赤調の隆起性病変を上行結腸に認めた。回腸末端の炎症,または粘膜下腫瘍による腸重積と考えられた。送気で重積の整復を試みたが,整復し得なかったため,緊急手術を施行した。開腹時,回腸末端から上行結腸への重積は解除されていた。漿膜面にも発赤等の異常を認めなかったが触診上,盲腸に腫瘤を認め,回盲部切除を施行した。術後病理で盲腸の海綿状リンパ管腫と診断された。経過は良好で術後第6病日に退院となった。術前に確診できず,腹腔鏡観察のみでは術式選択が困難であったと思われる。術前情報の限られた緊急時の腹腔鏡下手術には慎重を期すべきと思われた。