抄録
虫垂子宮内膜症は稀な疾患であり、重積を伴うものはきわめてまれで、医学中央雑誌で検索しえた限り10 例目である。今回、完全虫垂重積をきたした虫垂子宮内膜症に対し、腹腔鏡下に切除した症例を経験したので報告する。症例は46 歳女性で下血を主訴に来院した。大腸内視鏡検査で盲腸内に腫瘤を認め、注腸造影検査、腹部CT 検査で嚢胞を伴う虫垂の重積を認めた。以上より、虫垂粘液嚢腫による虫垂重積症と診断し、D3 郭清を伴う腹腔鏡下回盲部切除術を施行した。病理組織学的所見より虫垂子宮内膜症による完全型虫垂重積症と診断した。虫垂子宮内膜症は術前診断が難しく、腹腔鏡下手術は根治性と低侵襲性の両面で有用であると思われた。