2016 年 36 巻 6 号 p. 1023-1026
Damage Control Surgery(以下,DCS)の適応基準については多くの議論がある。今回,われわれは日本外傷データバンク(以下,JTDB)から開腹手術を受けた外傷患者4,447例を抽出し,DCSを受けた532例と通常の開腹手術を受けた3,915例を分析した。DCS群は来院時のバイタルサインが悪く,FAST陽性率,輸血率,死亡率いずれも高かった。ロジスティック回帰分析では脈拍,体温,意識レベル,受傷機転が独立したDCS予測因子であった。この予測因子をカテゴリー化し,重み付けをしてDamage Control Indication Detecting Score(DECIDE score)を作成したところ,死亡率との相関を認め,体温,意識レベル,受傷機転の3つの情報でDCSの適応判断が可能であった。Cut off値5点での死亡率は30.8%,感度64.8%,特異度70.0%であった。本スコアはプレホスピタルで判断可能であり,術前から外傷チーム内での意識共有が可能である。