日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
症例報告
重症急性膵炎によるAbdominal Compartment Syndromeに対してOpen Abdominal Management後に両側腹直筋前鞘翻転法とComponents Separation Methodを併用した1例
喜安 佳之太田 智之加納 宣康
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2016 年 36 巻 6 号 p. 1121-1124

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抄録

症例は63歳男性,心窩部痛を主訴に来院し膵酵素の上昇とCTで膵の腫大を認め膵炎と診断された。急性腎不全と呼吸不全が進行し, 重症急性膵炎と診断された。腹部膨満が増悪し入院6日目に膀胱内圧が25mmHgを超え,血圧が維持できなくなったためAbdominal Compartment Syndrome (以下,ACS)の診断で外科的減圧術を施行した。筋膜のみを白線で正中切開し腹膜は保存した。腹腔内圧は11mmHgまで減少し血圧は安定した。術後創部はVacuum Packing Closureで管理し術後18日目に両側腹直筋前鞘翻転法とComponents Separation Method(以下,CSM)を併用して閉創した。術後筋膜壊死は認めなかった。急性膵炎によるACSに腹膜を温存した減圧術を行い両側腹直筋前鞘翻転法とCSMを併用して再建した報告はないが有用であった。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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