2016 年 36 巻 7 号 p. 1193-1196
要旨:症例は70歳男性。転落による腰椎L3破裂骨折の診断で整形外科に入院となった。腹痛が出現したため再検したCTで十二指腸穿孔および後腹膜膿瘍が疑われ,緊急手術を施行した。十二指腸水平脚の後腹膜側に穿孔部および後腹膜に広範囲の膿瘍腔を認め,ドレナージおよび穿孔部の単純閉鎖を行った。術後に縫合不全および後腹膜膿瘍が出現し,約半年間のドレナージを要した。外傷性十二指腸損傷はとくに後腹膜穿孔では手術のタイミングが遅れると縫合不全のリスクが高くなり,救命率は減少してしまう。このため,手術ではさまざまな付加手術が行われてきたが,最近は付加手術に否定的な意見も多い。今回われわれは受傷から手術まで時間が経過した外傷性十二指腸穿孔に対し単純縫合閉鎖を行ったが,術後に縫合不全を起こし治療に難渋した症例を経験した。本症例のように縫合不全のリスクが高いと考えられる場合には減圧・補強を加えた付加手術を行う必要があると考えられた。