2017 年 37 巻 3 号 p. 431-436
患者は61歳,男性。3週間前からの腹痛を主訴に当院を受診した。造影CT検査で右胃大網動脈末梢側で血管径の拡張と造影剤漏出を示唆する血管外の造影領域を認め,動脈瘤破裂による出血が疑われた。診断治療目的に血管造影を施行したところ,右胃大網動脈に動脈瘤の形成が認められ,造影剤の血管外漏出部位は明らかではないものの出血は継続していた。経カテーテル的動脈塞栓療法を試みたが,止血が困難であったために手術の方針となった。血腫ごと右胃大網動脈瘤の切除を行い,術後経過は良好であった。病理組織学的には動脈瘤の原因はSegmental Arterial Mediolysisと診断された。