日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
Meckel憩室に関連するイレウスを術前診断し腹腔鏡手術を施行した1例
山根 宏昭加納 幹浩大森 一郎金子 真弓
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 37 巻 4 号 p. 587-591

詳細
抄録

症例は24歳女性。腹痛と嘔吐を主訴に入院。Multi Detector Computed Tomography(以下,MDCT)で骨盤内に腫大した盲端腸管と拡張した小腸を認め,Meckel憩室によるイレウスと診断した。イレウス管を留置し,減圧後に腹腔鏡手術を行った。腹腔内に盲端腸管を認め,同腸管から小腸腸間膜に走行する索状物を認めた。索状物と小腸腸間膜がヘルニア門を形成し近傍小腸が嵌頓し内ヘルニアを呈していた。索状物を切離し,憩室に対し楔状切除術を施行した。病理組織検査から索状物をMesodiverticular bandと診断した。さまざまな症状を呈するMeckel憩室の術前診断は困難だが近年はMDCTの有用性が報告されている。またイレウスを呈する症例の腹腔鏡手術は術野の確保が困難となることが多いが,術前イレウス管留置による腸管内減圧は腹腔鏡手術完遂のために有用であった。

著者関連情報
© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top