2017 年 37 巻 6 号 p. 839-844
プライマリ・ケア医として,総合診療医は腹部救急疾患に大きくかかわることが予想される。現在の総合内科医にとって,腹部救急疾患へのアプローチや専門医との診療連携などに関して,アンケートを行って現状や課題を検討した。総合内科医は病歴聴取や身体所見を重んじる傾向があり,画像診断に対する重みは専門医ほどでない結果であった。そうした背景もあってか,専門科へのコンサルテーションに関して,画像診断で確定的ではないときに入院を拒まれたりすることに悩みを持っていることもわかった。画像診断が偽陰性のときに見えないからといって診断を除外してしまうことには問題があり,せめて経過観察入院などを行うなどの対応が必要である。鑑別診断にあたっては,頻度と重大性を考慮して対応を進める傾向があり,消化器領域以外の疾患も検討していた。見えるもののみを相手にするのではなく,考える消化器診療には内科診療の本質があると考える。