2018 年 38 巻 4 号 p. 739-743
子宮留膿腫による子宮穿孔はまれである。今回,腹腔鏡手術が診断と治療に有用であった穿孔性子宮留膿腫の1例を経験した。症例は83歳の女性。発熱と腹痛を主訴に受診した。右季肋部に圧痛と筋性防御を認め,腹部造影CTでは緊満した胆囊の一部に造影不良と腹水貯留を認めた。急性胆囊炎を疑ったが,同時に子宮の腫大,壁肥厚,腔内液貯留を認めており,また,子宮底部の壁の菲薄も認められた。子宮留膿腫穿孔の可能性も念頭に置いて,審査腹腔鏡を先行した。腹腔内に黄白色の腹水を認め,子宮底部には5mm径の穿孔が確認された。胆囊に著変はなかった。穿孔性子宮留膿腫と診断し, 腹腔鏡下に穿孔部の単純縫合閉鎖,腹腔内洗浄,経膣的ドレナージを行った。術後に敗血症性ショックを呈したが,救命することができた。本症例では,審査腹腔鏡で確定診断を得て,低侵襲治療を行うことができた。腹腔鏡手術は穿孔性子宮留膿腫の診断と治療の選択肢として有用と思われた。