2019 年 39 巻 1 号 p. 137-140
症例は76歳,男性。初回手術の2週間前に右顔面神経麻痺に対してステロイド療法が施行された。4日前からの心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診し,中等症急性胆囊炎の診断で腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した。術中所見では壊死性胆囊炎の所見であったが,手術操作で胆囊壁を損傷し小結石が腹腔内に落下したためこれらを可及的に回収し手術を終了した。術後はとくに問題なく経過し一旦は退院した。しかし,落下結石遺残による膿瘍形成を認め保存的に加療したが完治せず術後74日目に腹腔鏡下膿瘍ドレナージ術を施行し,遺残結石を回収した。再手術後は症状の再燃はなく経過順調である。2013年の急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドラインの発刊以降,急性胆囊炎に対する早期腹腔鏡下胆囊摘出術が増加しているが,易感染者では術後の膿瘍形成に注意を要し,そのような症例に対しては腹腔鏡下膿瘍ドレナージ術は有用と考えられた。