2022 年 22 巻 9 号 p. 443-449
赤外分光やラマン分光法の利点は,非破壊的で,試料の抽出,精製を必要とせず,脂質,脂肪酸,タンパク質等の構造情報が直接的に得られることにある。特に表面特性解析に優れる減衰全反射-フーリエ変換赤外吸収分光法(ATR-FT/IR)を用いることにより,人工汚染布の同一表面上に付着した油性汚れ成分,およびタンパク質汚れ成分を,同時かつ直接的に分離する定量分析が可能である。本稿では,洗浄力の定量評価のためのATR-FT/IRを用いた新しい分光学的手法の有用性について,検証結果を示しながら解説する。