2019 年 39 巻 3 号 p. 567-570
症例は82歳男性。3年前に早期胃癌に対して腹腔鏡下胃全摘術および結腸前経路によるRoux-en-Y再建術を施行し,外来経過観察中であった。腹痛と嘔吐を主訴に受診し,腹部CT検査で挙上空腸の拡張,腸管壁の菲薄化および壁在気腫を伴ったclosed loopの形成を認め,絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を施行した。開腹すると横行結腸間膜垂からY脚近傍にband形成を認め食道空腸吻合部のすぐ肛門側からY脚までの挙上空腸の絞扼と壊死を認め,壊死腸管を切除し再度挙上空腸吻合とY脚再吻合を施行した。術後誤嚥性肺炎や低栄養で入院期間が遷延したが,第41病日にリハビリ目的に転院となった。胃全摘術後の挙上空腸に発生した絞扼性腸閉塞の報告は過去10年間になく,外科的にも示唆に富む極めてまれな病態であったため報告する。