日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
空腸憩室の腸間膜への穿通に起因する腹膜炎を術前に診断し得た1例
大惠 匡俊小野山 裕彦
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2019 年 39 巻 3 号 p. 587-590

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抄録

症例は56歳男性。3日前より心窩部痛と嘔吐を認め,痛みが腹部全体に及ぶようになり独歩で受診した。来院時,腹部全体の圧痛と筋性防御の所見があり,腹部造影CT検査で空腸腸間膜にガス像を伴う腫瘤影と多発性の小腸憩室を認めた。小腸憩室の腸間膜への穿通に起因して生じた腹膜炎と診断し,緊急開腹術を施行した。開腹すると腹水がみられTreitz靭帯から約35cmの空腸腸間膜に大網で覆われた径9cm大の膿瘍を認めた。腸間膜の膿瘍形成部を含めて空腸を約30cm切除した。切除標本より腸間膜膿瘍の中心部に空腸憩室の穿通を認め,切除空腸の腸間膜側には多数の憩室が確認できた。Meckel憩室を除く小腸憩室穿孔穿通はまれな疾患であり,診断が遅れ重症化し高い致死率が報告されている。今回,われわれは空腸憩室の腸間膜への穿通に起因する汎発性腹膜炎を術前に診断し得た1例を経験したので若干の考察を加え報告する。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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