2019 年 39 巻 4 号 p. 645-648
急性虫垂炎手術症例の画像診断を含めた術前所見から,壊疽性・穿孔性虫垂炎を予測する因子を後方視的に検討した。2005年4月より2009年12月までに切除した虫垂炎症例368例を対象とし,年齢,体温,筋性防御,白血球数,CRP,CT所見(虫垂内糞石,虫垂腫脹,虫垂周囲の脂肪織濃度の上昇,腹水)を2群に分け,予測因子について二項ロジスティック解析を用い検索した。壊疽性・穿孔性虫垂炎は,189例(51.4%)。予測因子は,単変量解析で体温,筋性防御,CRP,CT所見の虫垂周囲の脂肪織濃度の上昇,腹水。多変量解析でCRP,体温,CT所見の虫垂周囲の脂肪織濃度の上昇。壊疽性・穿孔性虫垂炎である確率は,陽性因子数2で75.5%,3で92.3%。2因子以上陽性の場合,外科的治療を優先する必要があると考えられた。