2019 年 39 巻 4 号 p. 687-690
症例は70歳代,男性。食道癌に対し右開胸食道亜全摘,後縦隔経路胃管再建,空腸瘻造設を施行した既往がある。食道癌の再発は認めなかったが,保存的加療で軽快する腸閉塞を繰り返していた。食道癌手術より約6年が経過後,腹痛と嘔吐を主訴として近医を受診し,腸閉塞の診断で当科に紹介となった。腹部はやや膨隆し,圧痛を認めたが,明らかな腹膜刺激症状はなかった。腹部造影CTでは,小腸間膜に渦巻様所見を認め,上腸間膜動脈は左側へ偏位していた。CT所見より絞扼性腸閉塞を疑い緊急手術を施行した。開腹すると空腸瘻造設部と腹壁の間隙に小腸が嵌入し,そのための腸閉塞が生じ,腸間膜根部付近で捻転をきたしていた。嵌頓と捻転を解除し,腸瘻造設部の空腸を腹壁から剝離し手術を終了した。食道癌手術時の空腸瘻造設部が関与する腸閉塞は,頻度としては低いものの実臨床において遭遇する病態の1つである。若干の文献的考察を踏まえ報告する。