日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
IVRによる保存的治療のみで救命した急性上腸間膜動脈閉塞症の1例
塚本 芳嗣根岸 宏行大坪 毅人小倉 佑太福岡 麻子朝野 隆之月川 賢牧角 良二藤塚 進司三村 秀文
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2019 年 39 巻 4 号 p. 715-718

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抄録

上腸間膜動脈閉塞症は早期診断,早期治療を行うことで良好な予後を得ている。早期の急性上腸間膜動脈閉塞症は軽度の腹痛のみで来院することがあり,早期に診断を行うことは困難である。治療の遅れは死に至る可能性が極めて高い重篤な疾患である。今回,IVRによる保存的治療のみで救命した急性上腸間膜動脈閉塞症の1例を経験したので報告する。症例は70歳代,男性。腹痛と血便で前医を受診し,CT検査で急性上腸間膜動脈閉塞症,小腸壊死疑いで当院紹介となった。発症24時間以内であり,画像診断では腸管壊死には至っていないと考え,IVRで血栓の除去を行った。その後,ウロキナーゼ持続投与を開始し,連日,上腸間膜動脈造影を行い血栓は縮小傾向であり第3病日には血栓は指摘できなかった。第5病日に経口摂取開始とし,その後経過良好で第17病日に退院となった。現在抗凝固薬内服で外来通院中である。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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