2019 年 39 巻 4 号 p. 723-726
症例は68歳の男性。44年前に虫垂炎手術歴あり。2週間前からの食思不振と右下腹部痛の増悪を主訴に受診。虫垂切除後の手術痕と一致する右下腹部に膨隆と圧痛を認めた。血液検査所見で炎症反応が高値であり,造影CT検査で腹壁から回盲部に連続する膿瘍を形成していた。限局しており,明らかな消化管の破綻所見を認めなかったため,経皮的ドレナージと抗生剤加療を行ったところ症状や炎症所見が改善した。細菌培養からはStreptococcus anginosus group(以下,SAG)が検出された。第13病日に自宅退院し,1年経過現在再発所見を認めていない。虫垂炎術後長期経過して発症する腹壁膿瘍の報告はまれであり,膿瘍形成傾向が強いとされるSAGが同定されたのは本症例が初であった。今回われわれはSAGを起因菌とする虫垂炎手術44年後に発症した巨大な腹壁膿瘍に対して経皮的ドレナージで改善した1例を経験したため報告する。