日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
臍ヘルニア嵌頓を契機に診断に至った結核性腹膜炎の1例
杉本 敦史福岡 達成前田 清永原 央渋谷 雅常井関 康仁松谷 愼治平川 弘聖大平 雅一
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2019 年 39 巻 4 号 p. 755-758

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抄録

症例は68歳男性。難治性腹水で加療中に臍部膨隆で当科受診した。腹部CTで多量腹水と小腸の臍ヘルニア嵌頓を認めた。用手還納は困難であったため,緊急手術を施行した。ヘルニア内容は小腸で壊死所見を認めたため,切除吻合し,ヘルニア門は縫合閉鎖した。腹水検査でADA48.8U/L,血液QFT検査陽性であることから結核性腹膜炎に続発した臍ヘルニア嵌頓と診断した。術後合併症なく経過し,抗結核菌薬により改善した。結核性腹膜炎は結核感染者の0.1〜1.5%とまれな疾患であり,確定診断に難渋することが多いため,難治性腹水として長期間経過し急性腹症を続発する場合がある。本症例は結核性腹膜炎による長期間の腹水貯留および腹圧上昇が原因となった臍ヘルニア嵌頓と考えた。難治性腹水を伴う急性腹症は結核性腹膜炎を鑑別にあげ,術中に腹膜結節の検索や腹水の採取など行うことが重要である。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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