2019 年 39 巻 4 号 p. 797-800
症例は69歳,男性。肺結核の治療目的に当院紹介。入院時のCT検査で右腎癌および膵石と膵仮性囊胞を伴う慢性膵炎が指摘された。4ヵ月間の肺結核の治療ののち,右腎癌に対して右腎摘出術が行われた。術1ヵ月後頃より上腹部痛を自覚し,徐々に疼痛の増強と嘔吐を認め,術2ヵ月後に当院に救急搬送された。来院時の腹部CT検査で,慢性膵炎の急性増悪と膵仮性囊胞内出血が疑われた。入院後の上部消化管内視鏡検査で,十二指腸乳頭から流出する胆汁・膵液に血液の混在(hemosuccus pancreaticus)が認められた。腹部血管造影検査で右胃動脈および左胃動脈の胃小弯への分枝から囊胞内への出血が確認され,これらの動脈枝の塞栓術が施行された。動脈塞栓術10ヵ月後に膵仮性囊胞内出血の再発が疑われたが,出血は活動性ではなく,待機的に膵体尾部切除術が施行され,術19日後に軽快退院した。膵切除術30ヵ月後の現在,膵炎や膵仮性囊胞の再発は認めていない。