日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
ヨードアレルギーのため診断・治療手段を制限されたhemosuccus pancreaticusの1例
佐藤 誠洋平松 聖史関 崇藤枝 裕倫鈴木 優美崔 尚仁齋藤 麻予余語 孝乃助新井 利幸
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2019 年 39 巻 5 号 p. 871-874

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抄録

症例は,47歳の男性で,アルコール多飲による慢性膵炎で加療中だった。黒色便と吐血で当院を受診した。来院時,高度の貧血を認めショックであった。緊急上部消化管内視鏡検査では胃・十二指腸内に多量の凝血塊を認めたが,出血源は明らかではなかった。補液と輸血を施行しながら入院で経過観察を行っていたが,翌日,再度ショックとなり内視鏡検査を施行した。十二指腸乳頭より活動性の出血を認めた。ヨードアレルギーによる心停止の既往があり,膵管造影,造影CT検査,血管撮影検査が不可能であった。腹部US,単純CT,造影MRI検査を施行し膵尾部の仮性囊胞内出血によるhemosuccus pancreaticusと診断,同日,緊急手術:膵体尾部切除術を施行した。術後,出血は止まりショックから離脱し,軽快退院した。病理組織学的にも膵仮性囊胞内出血と診断した。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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