2019 年 39 巻 5 号 p. 897-900
症例は40歳,男性。36歳より高血圧症で加療中。約1ヵ月前から左大腿から臀部の知覚異常を認めていた。腹痛・腹部膨満を発症した9日後,腸閉塞の診断で当科に紹介・搬送となった。大腸の拡張を認めたが,注腸造影で器質的閉塞なく,急性大腸偽性腸閉塞症(acute colonic pseudo-obstruction:以下,ACPO)と診断した。脊髄MRIでは脊髄出血を認めた。ともに保存的治療で軽快した。脊髄出血の原因として第Ⅶ因子欠乏症の関与が疑われた。ACPOの病因として交感神経副交感神経不均衡説が有力であるが,本症例は脊髄出血により胸腰髄の交感神経が障害されて発症したと考えられた。診断が遅れた場合は緊急手術を要することもあり,脊髄病変診断時には本症の発症も視野に入れて診療を進める必要があると考えられた。