日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
潰瘍性大腸炎に合併した直腸悪性リンパ腫による腸閉塞の1例
渡部 かをり北上 英彦辻 恵理野々山 敬介早川 俊輔山本 稔
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2019 年 39 巻 5 号 p. 953-957

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抄録

潰瘍性大腸炎は大腸腺癌を合併する確率が高いことは知られているが,悪性リンパ腫を合併した報告例は少ない。今回われわれは,潰瘍性大腸炎に合併し腸閉塞を発症した直腸悪性リンパ腫の症例を経験した。症例は66歳男性,36年前に潰瘍性大腸炎と診断されたが無治療で経過していた。下血と右下腹部痛を主訴に当院を受診し,腹部CTで直腸腫瘍による腸閉塞と診断した。大腸内視鏡で直腸に全周性3型腫瘍と直腸粘膜の血管透見像消失を認め,病理学的に潰瘍性大腸炎と診断されたが悪性の診断は得られなかった。潰瘍性大腸炎に合併した直腸癌と考え,絶食管理後ハルトマン手術を施行した。病理組織学的検査で腫瘍はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した。潰瘍性大腸炎に合併した悪性リンパ腫については長期の慢性炎症や免疫抑制剤が関与しているとの報告があり,潰瘍性大腸炎患者に発症した腫瘍性の大腸閉塞で診断に苦慮する場合は悪性リンパ腫も考慮される。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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